インターネットには匿名が溢れています.「インターネットでは本名などの個人情報を公開するな」とも言われています.本当にそれで良いのだろうか?
私の経験と実感
米国の研究者やエンジニアーは自由だ
以前読んだ本で「米国のインターネットは実名主義だ」と書かれていました.また,米国駐在が長かった会社の元上司も「日本のインターネットは匿名だからいかがわしいんだよな」とか言っていた.これらの話は一般化できるかどうかはわかりませんが,実感としては米国は実名が多いような気がします.
私が仕事で使う科学技術計算のソフトウェアーに関して疑問があるとき,英語で検索します.検索結果で表示されるサイトは米国が多く,似たような質問に多くの人が答えてます.議論に参加している人は実名どころか,顔写真を載せている場合もあります.なんでだろうと思っていたところ,米国で少しばかりエンジニアーの経験のある同僚から,
あれは自分の売り込みも兼ねている.業界で自分の名前を知らしめる事により,転職が有利になるんだ.
と教えてもらった. なるほどそうだったのか,と目からウロコが落ちる思いでした.だから,その内容は正確で丁寧です.米国中 (世界中かも) のエンジニアーや研究者が自由に自分の技術 (テクニック,ノウハウ) を公開しています.これは,双方にとってとてもメリットがあります.議論 (質問と回答) が世界中で公開されることにより,誰もが幸せになれる良い仕組みですね.
私は実名主義だ
そういうこともあり,私が運用している WEB サイトやブログは,実名を公開しています.いたるところに匿名が氾濫しており,その反発もあります.今のところ,実名を公開するメリットは多く,困ったことはありません.例えば,お客さんと会ったときや研究会のパーティで,しばしば「見てますよ」と言われます.論文を書いているので手伝って欲しいと言われることもあります.公開内容に関して,お礼のメールをもらうこともあり,嬉しいですね.書籍の執筆を依頼されたこともあります.小学校の低学年のときの友人から突然の連絡もあり,45年ぶりに再開したこともありました.WEB サイトの間違いの指摘も,しばしばあります.ありがたいことです.反対に,デメリットは全く有りません.ストーカーにあったこともないし,誹謗中傷の類もありません.
正々堂々と意見を
実名を公開することにより,発言内容に関して自ずから責任を持つことになります.いい加減な発言はできないはずです.ネット上の誹謗中傷は匿名だからできると考えています.ちょっと前のネット上の小室圭さんへの誹謗中傷 (コメント) などひどいものです.誹謗中傷をした人のうち何人が本名で自分の責任を持った意見として,正々堂々と言えるのでしょうか.このような誹謗中傷をする人はごく僅かですが,ネット上ではそのごく僅かな極端な意見が目立ってしまいます.このごく僅かな極端な意見が一般の意見と勘違いが生じます.いついかなる時も,正々堂々と自分の意見を言うようにしたいものです.
明らかに,ネット上の誹謗中傷は匿名だからできることですね.僕は,卑怯な人間がやりたい放題のように見えます.
実名をさらすことのデメリットに関して
ネット上に実名をさらすことの反対意見として言われるのが「ネットの個人情報を利用したストーカー行為の防止」です.ストーカーを受ける可能性のある人は僅かです.そして,ストーカーをする人はさらに少なく,本当にごく僅かです.気をつけることに越したことはありませんが,極端になりすぎるのも問題と考えます.明らかに,ストーカーに結びつかない場合は実名を選択しても良いと思います.そして,正々堂々と意見を言えばよいのです.
もうひとつの実名反対の主張は,政治的な発言に対するテロおよびそれに類する行為の危惧です.オピニオンリーダーは実名で話さないと説得力にかけるので,これらの危険を覚悟しているので問題はないです.匿名主義のオピニオンリーダーなんてありえないでしょう.その一方で,市井の人が政治的な意見を言う場合,匿名と実名は本人が選択すれば良いと思います.本当に危険だと思えば,説得力が落ちることを覚悟で匿名で発言をすればよいです.この場合,危険と説得力はトレードオフの関係にあります.あくまで,個人の責任ということです.
結論
私の意見は,ネット上でも状況に応じて実名で意見を言ってもよいのではなかと思います.日本人は臆病になりすぎて,不必要に匿名が多いと感じます.匿名だから,無責任な意見もや誹謗中傷も氾濫します.実名を出すことで,責任を自覚し正々堂々と意見を言いたいですね
ただし,場合によっては危険がありますので,それは自己責任です.匿名と実名を上手に使い分けることです.
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