2021/10/19

天体望遠鏡を作り,光速度を測定したい

僕はセミリタイア後に,天体望遠鏡を自作したいと思っています.ガリレオが見た木星の衛星を自分の作った望遠鏡で見たいですね.そして,それで木星の衛星を精密に観測し,光速度を求めてみたいと考えています.レーマーが1676年ころに光の速度を求めた方法をたどってみるつもりです.

木製とその衛星
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jupiter-and-its-moons-bozanowski-20090902.jpg)

木星の衛星の周期を使った光速度の測定には面白い歴史があります.「光速の測定実験は航海図の作成がきっかけだった: 光と色と」に詳細が書かれています.ここでは,簡単に話をします.

レーマーが光速度を求めた,1600年代のヨーロッパは大航海時代です.正確な世界地図がとても重要でした.世界地図を作るためには,経度と緯度が正確に分からなくてはなりません.緯度は北極星を観測すれば測定可能です.経度が問題です.正確な時計があれば,経度は分かります.太陽が南中した時のロンドン時間が分かれば,ロンドンとの経度の差が分かります.当時は,航海に持って行っても狂わない正確な時計はありません.そこで,天空に目をつけた人がいました.木星の衛星は正確な周期で木星の周りを回っています.これを時計の代わりに使います.そのために,木星の周期の正確な測定が行われました.実際は食の時刻を測定します.測定の結果,おかしなことが判明しました.季節によって,食の周期がすこしずつ異なります.レーマーは光速度が原因と考え,光速度を計算しました.レーマーが求めた光速度は,2.1×108 m/s でした.人類が初めて求めた光速度で,結構正確です.

地上では,精度の良い時計の開発が進められました.特に功績のあったのがイギリスのジョン・ハリソンです.彼の功績については「ジョン・ハリソン(1693-1776) | THE SEIKO MUSEUM GINZA セイコーミュージアム 銀座」に,詳しい説明があります.ジョン・ハリソンは,1761年に81日間で誤差はわずか5.1秒の時計「マリンクロノメーター H-4」を完成させます.これで,経度の測定の問題が解決されました.と同時に,天上と地上の時計の争いにも終止符が打たれました.


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